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「顔と口腔の医学」西原研究所と油壺セミナーについてPart.5 -油壺セミナー おもしろ話 脊椎動物の体のしくみの研究-

「顔と口腔の医学」西原研究所と油壺セミナーについてPart.5 -油壺セミナー おもしろ話 脊椎動物の体のしくみの研究-

四、比較形態学による三叉神経の謎解き
進化の根本原理が解れば、脊椎動物の源の研究にうつることが肝要である。一つは原索動物のウロコルダータ・アッシディア海鞘(ホヤ)の体のしくみの研究であり、もう一つが原始脊椎動物の軟骨魚類のサメのそれとサメから哺乳動物への体制の変容の謎ときである。
ホヤは、わが脊椎動物の源ではあるがゲノムサイズが小さいから、まさに脊椎動物のはじまりの一粒の体節から成る故に顔の源でもある。ホヤにはオモテとウラの二面があり体のオモテ半分が口でその中に沢山のヒダがあり、これが鰓、そして口の真ん中に大きな脳の源となる脳下垂体のオリジンがあり、ウラの半側には太い胃腸と生殖巣があり排出孔に通ずる。そして体全体をぐるりと取り囲む筋肉に、後に脳脊髄の源となる神経がある。この筋肉と神経と消化管のすべてに巡る血液を動かすポンプの心臓がある。内腔のウラ半分には口と鰓のオモテから細い食道に続いて、ウラ半腔に大きな胃と太い腸が存在し、せっせせっせと食物を消化吸収して余った栄養を血液細胞と生殖細胞の卵子と精子に変えて腸に排出すべく貯留する。ホヤが遺伝子重複して多体節化したのが、わが脊椎動物なのだ。この重複の変容はわが宗族の個体発生の初期の神経胚の時におこる。ナメクジウオでも哺乳動物でも、神経胚の初期のエムブリオの体節は、ともに二つか三つで、後に神経胚のステージで無数に増えるのだ。
顔の源と言える一粒の体節で出来ている原索動物のホヤから数珠つなぎ状のホヤの鎖サルパを経て、一個体となった連続ホヤ型の頭索類ナメクジウオが誕生すると考えられるが、このものは一つの鰓に心臓が一つついている多数の鰓裂部と鰓孔のない腸管肝臓部に大別される体制となる。
ホヤの体制をつらつら見れば、わが哺乳動物の超多細胞、多臓器の身体のしくみも自ずと解るのだ。脳の源となる下垂体は、わがヒトの胎児のラトゥケ嚢(口蓋粘膜)から発生するが、これはホヤでは特大で、まさに鰓と胃腸と筋肉の総元締めである。何で元締めするのかと言えば、液性の情報蛋白質のホルモン・生長因子・サイトカインである。心臓の発達が極端に悪いが、この心臓脈管系によって腸と鰓の内臓系および筋肉神経系と、この両者を取り持つ脳下垂体のすべての多細胞内のミトコンドリアを情報蛋白でコントロールしているのである。つまり脳下垂体が体全体部をコントロールしている脳のはじまりと思えるほどに他の組織(生殖巣)に比べて大きいのである。これからを考えると、わが宗族の体のしくみは、神経からの情報刺激がすべて下垂体に集中しここで情報蛋白質に翻訳されて血中に流れて全細胞内のミトコンドリアに運ばれて、ここではじめて各細胞が連動して働くのである。
ホヤが波にゆられて自分で動くことを止めたら波の動きで鰓が自動的に呼吸するとすぐにも神経と筋肉と消化管が、用不用の法則で無くなりホヤの外殻の皮膚のみとなる。これが昆布となりやがては植物となる。動く事を特徴とする動物の進化と、根を張って波や風で受動的にのみ動く植物とでは進化の原因子が異なる事は、このことから瞬時にして解る。ホヤの体のしくみを図鑑で調べると、ほとんどが考えられないほど小さな下垂体と脳神経と、とんでもない所に多数の穴のある鰓が示されているが、これらについては観察にもとづいてすべて改めなければならない。
次に着目すべきが原始脊椎動物のサメである。この族の代表には、ドチザメ(Triakis)型とネコザメ(Heterodontus)型の二系統がある。
図鑑によれば、すべてのサメの鰓を動かす筋肉は、鰓板の部分に描かれている。
原始脊椎動物のサメの鰓腸を動かす筋肉は、従来すべての教科書(ローマーや三木成夫)には鰓板の鰓把部に描かれており、舌を含む顎口腔咽喉部の解剖図はどこを探しても見つからない。
解剖すれば一目瞭然で、鰓弓部を動かす細い軟骨はすべて、口の中央部に存在する筋肉の重層した固着性の舌の背面を覆う板状の軟骨につながり、一塊の舌筋を閉じた扇をわずかに開閉するごとく動かすと遠隔部の鰓孔を覆う鰓弓が動いて呼吸運動をする。その舌の根本(尾側底)に左右の舌の鰓呼吸筋肉由来の心房と心室から成る心臓が存在する。この鰓全体の運動と感覚を司る主役が三叉神経と舌下神経である。鰓の鰓弓呼吸運動のすべては、哺乳動物では咀嚼筋群と舌運動筋と心筋運動に受け継がれるのである。十二の脳神経のうち際立って大きな三叉神経はその脳脊髄内の神経核を観察すると、驚くなかれ十二本中の脳神経の中で唯一中脳路核と脊髄路核を持ち、全内臓をカヴァーする迷走神経や前庭神経をはるかに凌ぐ大きさである。脊髄路では迷走神経核を越えてはるか尾側方向へ走っているのである。
鰓呼吸運動を行うのに動かす力の源は舌筋群で、鰓弓軟骨は頸椎に繋がり、大きく湾曲して舌筋を通って舌背部の軟骨に繋がっている。鰓の筋肉と鰓心臓はともに鰓を動かしたり鰓と身体に血流を巡らせる呼吸内臓筋に由来する。心臓の周囲には空気の入っている囲心腔があり、その尾側底にサメの横隔膜がある。ヒトの胎児の神経胚が完了した時期には、心臓と舌は完璧に繋がっており、肺の芽と気管の原器が舌背部から囲心腔の横隔膜方向に伸びている。ネコザメの成体の外鼻形と口腔周囲のつくりと構えはヒト(哺乳類)の胎児のそれらと完璧に一致している。これらのことから、わが宗族の祖は本当にヘテロドンタス(哺乳動物の歯を持つサメ)― ネコザメだったことがわかる。ここで脳のはじまりの下垂体から出発した脳と内臓脳と身体のしくみを示す。
脳神経の役割は様々だが、機能面で分類すると、特殊感覚神経、体性運動神経、鰓弓神経の3つに分けることができる。特殊神経は、嗅覚、視覚、聴覚、平衡覚という特別な感覚を伝える。これらは、Ⅰの嗅神経、Ⅱの視神経、Ⅷの内耳神経であり、末梢から中枢へと向かう求心性神経である。体性運動神経は、Ⅲの動眼神経、Ⅳの滑車神経、Ⅵの外転神経、Ⅻの舌下神経で、おもに顔面の筋肉に関わる。残りの神経は鰓弓神経である。多くは運動神経線維と感覚神経線維が混合する。この神経には、咀嚼筋、表情筋など、横紋筋という筋肉を支配する鰓弓運動線維、副交感神経のひとつである迷走神経を代表とする内臓神経線維、顔面の皮膚感覚を伝える三叉神経など体性と内臓感覚線維、顔面神経、舌咽神経、迷走神経に含まれる味覚線維がある。三叉神経の橋部の核、中脳路核および脊髄路核の拡大図を示す。
 脳神経における三叉神経特異性は、その脳脊髄内の核すなわち中脳路核、脊髄路核の分布から察知されるが、すべての脳神経と連繋することは自明である。三叉神経痛の患者の臨床例では、発作時は深く心臓部痛とも関連する。不用意の歯の治療ではしばしば眼の焦点の不具合や心臓部痛の訴えが経験される。かくのごとく臨床例を通して神経の複雑な絡み合いのしくみも察知されるのである。
十二対の脳神経の中心となる三叉神経の活動は迷走をはじめとする鰓腸神経全域を活性化する。
朝の起床後の充分な食事では咀嚼運動により心、肺はもとより胃、十二指腸、回腸、盲腸、結腸、直腸が活性化されて、いわゆる胃-総腸反射がおこり、排便運動へとつながる。

2016-05-09 10:46:54

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